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縁結び「卯子酉明神」様

 遠野高校から、西方の宮守方面に向かって700mほどの所、愛宕神社が鎮座する愛宕山と呼ばれる高台の麓に、小さな祠があります。

この祠は、縁結びの神様として有名です。

 卯子酉は、「うねどり」と読みます。「うねとり」ともいいます。


境内の様子です。

⛩縁結びの神様

 柳田國男が著した「遠野物語」の続編にあたる「遠野物語拾遺」には、次のような話が掲載されています。

 遠野の町の愛宕山の下に、卯子酉様の祠がある。其傍の小池には片葉の蘆を生ずる。昔は、ここが大きな淵であって、其淵の主に願をかけると、不思議に男女の縁が結ばれた。又信心の者には、時々淵の主が姿を見せたとも謂って居る。

「遠野物語拾遺」第35話
説明板があります。
この祠は、遠野遺産の一つです。

 境内の無人売店で売っている赤い布を、左手だけで、木や張られている縄に結ぶことができれば、恋人と結ばれることができるといわれています。

様々な願いが結ばれています。

 この卯子酉明神は、岩手県の県北にある普代村の人で長く遠野で奉公した港屋平兵衛が、江戸時代の文久年間(1861年~64年)に、普代村にある卯子酉明神(現在の鵜鳥神社)の分霊を勧請したものといわれています。この現在は鵜鳥神社と呼ばれているこの神社は、創建が延暦23(西暦804)年と伝わる古社です。

卯子酉明神の脇を、猿ヶ石川が東から西に向かって流れています

 「卯子酉」という名は、十二支の子・卯・酉からきているようです。
 陰陽五行でいえば、子は水気であり北、卯は木気であり東、酉は金気であり西を意味して言います。
 卯子酉明神が座する所は、遠野の郷の北方に鎮座する早池峰連峰薬師岳(標高1,645m)の麓を源流とする猿ヶ石川が南流し、遠野の市街で流路を西に変えて西方にある宮守方面に向かって流れている土地です。つまり、卯子酉明神の脇を流れる猿ヶ石川は東方から西方に向かって流れています。
 「卯子酉」という名には、このような意味合いもあるのかもしれません。そもそも本宮が「卯子酉」なので、そのまま名を引き継いだのかもしれません。

西の方角を守護する「白虎」が掲げられています。

 ちなみに、この祠には白虎の額が掲げられています。白虎とは中国の神話にある四神獣を由来とする神獣の一柱で、四神獣が守護する土地の中で西の方角を守護する存在です。「卯子酉明神」が鎮座する愛宕山の辺りは、遠野城下町の西の境界に位置していますから、城下町の西方を守護する意味があるのだと思います。

卯子酉明神の位置。

⛩第49回遠野物語ファンタジー「卯子酉の淵」

 ところで、遠野の郷には、長年続いている市民劇「遠野物語ファンタジー」があります。
 令和5年度の舞台は、49回目の舞台となります。脚本は、遠野市在住の萩野友里恵さん原作の「卯子酉の淵」です。
 遠野市民センター大ホールで、令和6年2月24日(土)〔開場17時30分、開演18時30分〕、2月25日(日)〔開場午前9時30分、開演10時30分〕・〔開場13時30分、開演14時30分〕の3回公演を予定しています。
 「卯子酉の淵」のあらすじは、以下のとおりです。

 将来を誓いあったミツと利一であったが、両家は仲が悪く、結婚できるように縁結びの神である卯子酉神社に足蹴く通う二人。           
 ある日、ミツが盗賊に拐われてしまい、ミツを捜して行方知れずになった利一。助け出されたミツは、家人より利一はこの世に居ないと告げられ、自暴自棄になり卯子酉の淵に身を投げてしまう。 

 もしよろしければ、「卯子酉の淵」もご覧ください。

 遠野の郷は、不思議がいっぱいです。
 おでんせ、遠野へ。


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