先発メンバー9人中、7人が菊池でした
本校は、岩手県遠野市にある高校です。
本校の野球部は、学校創立3年後の明治37(1904)年に創部された、歴史と伝統のある部です。
戦前の昭和7(1932)年と戦後の昭和33(1958)年の、二度の甲子園への出場経験があります。
この長い部史の中から、話題になったエピソードを紹介します。
それは、平成10(1998)年7月16日に雫石球場で行われた第80回全国高等学校野球選手権記念大会岩手大会1回戦(対:岩谷堂農林高校〔現在の岩谷堂高校〕戦)の試合で起こった珍しい出来事でした。
この試合での本校の先発メンバーが、エースピッチャーの松田選手と主将の今渕選手の2名を除いて、9名のうち7名が菊池姓だったのです。
実に、この時先発メンバーの約8割が、菊池だったのです。
なぜ、このようなことが起きたかといえば、もともと遠野市には菊池姓が多いためです。市民の4人に1人が菊池姓です。
「さんずい」の菊池姓や、「つちへん」の菊地姓などの発祥の地は、現在の熊本県菊池市だといわれています。約700年前の南北朝時代という動乱期に、室町幕府を興す足利尊氏に敗れた南朝方の菊池一族が、当時、南朝の勢力下にあった東北に九州から逃れてきて、以後菊池姓が増えたという説があります。
その縁もあって、現在、遠野市は熊本県菊池市とも友好都市として交流しています。
ちなみに、遠野市には佐々木姓も大変多いのです。
なお、平成10年の甲子園予選1回戦において、本校野球部の先発メンバーの約8割が菊池だったということは、平成10年7月17日付「スポーツ報知」で報じられ、話題になりました。この時の「スポーツ報知」の見出しは、「菊池7人夏物語」でした。
ちなみに、「○○7人夏物語」は、昭和61(1986)年の7月から9月にかけてTBS系列で放送され大ヒットしたテレビドラマ「男女7人夏物語」をもじっています。「男女7人夏物語」の主演は明石家さんまさんで、このドラマ出演をきっかけに、共演の大竹しのぶさんと結婚することになったエピソードは有名です(後、離婚。)。
それはさておき、本校野球部は、この1回戦を突破し、2回戦に進出しました。
歴史と伝統を受け継ぐ本校野球部は、甲子園大会を目指して、今日も猛暑の中練習に励んでいます!