大昔に女神あり、三人の娘を伴ないてこの高原に来たり by柳田國男
🌸遠野の郷
遠野の郷は、遠野三山に囲まれた標高250mから300mほどの遠野盆地にあります。
遠野盆地は、北上高地のほぼ中央にあり、南北約30km、東西約20kmにわたる北上高地最大の盆地です。
遠野三山とは、北の早池峰山、東の六角牛山、北西の石上山という1千m級の山々です。
この中の早池峰山(標高1,917m)は、古くは東峰と呼ばれた北上高地の最高峰で、岩手山(標高2,038m)や姫神山(標高1,124m)とともに、旧盛岡藩領の三鎮山として信仰されていた山でもあります。
柳田國男は、この山々に関するエピソードを「遠野物語」で次のように記しています。
遠野物語の記述を現代の口語訳にすると、以下のようになります。
「石神」は「石上」のことです。
この「遠野物語」第2話に出てくる遠野三山の由来話は、遠野の郷の山岳信仰について示しています。
かつて山は、今以上に人々の暮らしとともにありました。山麓の農民にとっては水分りの山であり、水をもたらす源として崇拝されました。ドングリや栃の実、キノコなど食材も豊富で、山は実り豊かな富をもたらす生産の原点でした。また、森林は家屋の建築資材の供給源であり、薪炭の原材としても貴重な資源でした。
山岳信仰とは、山に対して畏敬の念を抱き、神聖視して崇拝し儀礼を執行する信仰形態です。つまり、遠野の郷の人々は、遠野三山が神の住まう神聖なものとして生活してきたのです。
🌸遠野高校ギャラリー
本校の校舎1階には、遠野物語をテーマとした版画作品等、生徒や教職員の作品を展示しています。